<アクセスを稼ぐページの作り方> 
(株)不動産データ&ジャーナル社主催 経営トップセミナー
平成10年11月   
この文章は、平成10年11月4日 日本教育会館にて行われた (株)不動産データ&ジャーナル社 主催の経営トップセミナーで使用したレジュメの抜粋です。
なお、セミナーでは PowerPoint を使いグラフや図表を多用して、視覚に訴える工夫をしました。



§1.はじめに
  〜インターネット ユーザーの実態〜

今からちょうど3年前の95年11月23日 Windows95 (日本語版)が発売されました。
Windows95 では簡単にインターネットに接続できたため、この発売が契機となり、国内のインターネット ユーザーが増えたことは記憶に新しいことです。

Windows95 発売直後の95年末の国内インターネット ユーザーは、約120万人と言われています。

当社では、今回のセミナーのためにインターネットに接続しているユーザーにアンケートを実施し89名の回答を得ました。
その回答と考察を交えて、「アクセスを稼ぐページの作り方」を解き明かします。

なお、アンケートの質問事項および回答は、別紙の資料 をご覧になって下さい。

インターネット ユーザーの爆発的な増加
国内のインターネット ユーザーは、今年の初めに1,000万人を突破しています。
そして、今年の末には1,300万人に迫る勢いです。
今後、小学校や中学校でのコンピュータ教育がさらに充実すれば、義務教育修了者は全てインターネットを利用したことがある人になります。


オンライン ショッピング経験者の増加
既に30%以上のユーザーがオンライン ショッピングを経験しています。
国内のユーザーは上記にもありますように、1,000万人を突破していますので、非常に多くの方々がオンライン ショッピングを経験していることになります。
購入品目は、パソコンソフトやパソコン周辺機器、書籍などが多いようです。


情報収集ツールとして活用
一生のうちで、最も大きな買い物の一つが「マイホーム」です。
マイホームを買う人は購入するまで、色々な方法で情報を集めます。
インターネットはこの情報収集能力に非常に長けています。
アンケートの結果を見ても、約半数の人がインターネットを使いマイホーム購入の情報を集めると回答しています。


§2.新規訪問者を増加させる
  〜ユーザーはどのようにして、必要なページを探しているのか〜

いかにインターネットが万能の情報収集ツールであろうとも、見たいホームページの URL は、ユーザー自らの手で探さなければなりません。
ではユーザーはどのようにして必要なページの URL を探しているのでしょうか?

■サーチエンジンを活用する
ほとんど全てのユーザーが、サーチエンジンを活用して必要なページを探しています。
サーチエンジンは、大きく2つのタイプに分けることができます。
一つはディレクトリ型サービスと呼ばれるもの、もう一つはロボット型検索サービスと呼ばれるものです。
どちらも、ホームページの情報を集めて、ユーザーにサービスしている点は同じです。
両者の違いは、その情報収集の方法にあります。

◆ディレクトリ型サービス
Yahoo! Japan に代表されるように、ホームページ開設者が登録を依頼し、その依頼に基づいてサービス提供者のスタッフが手作業で各カテゴリに分類します。
このサービスでは、ホームページの紹介文や関連するキーワードなどを登録できます。
キーワードでの検索も可能ですが、むしろカテゴリを絞り込んで、検索対象を探すことを基本として設計されています。

【紹介文】
一般的に、50文字から100文字程度の紹介文です。
ユーザーは検索の結果 表示される紹介文を読んで、そのページにアクセスするかどうかを判断します。
つまりホームページにアクセスしてくれるかどうかは、この紹介文にあると言っても過言ではありません。
ホームページの内容が一読して分かりやすい、簡潔で具体的な文章にすることが大切です。

【キーワード】
サービス提供者により異なりますが、3個から10個程度のキーワードが登録できます。
一般的なキーワードは検索の結果ヒットする回数が多いですが、登録されているホームページの数もまた多く、情報の海の中に自社のホームページが埋もれてしまう可能性があります。
逆に、専門用語や固有名詞の登録数は少ないですが、検索される回数も少ないようです。
ユーザーの立場で考えて、キーワードを登録するのが基本です。

◆ロボット型検索サービス
“ロボット”と呼ばれるプログラムが、インターネット上から自動的に各ホームページに含まれるキーワードを集め、それをデータベース化します。
そして、ユーザーからの検索要求に対して、データベース内の情報を返すというサービスを基本としています。
このサービスの代表的なものに goo や infoseek JAPAN などがあります。


ディレクトリ型サービスでは、ホームページ開設者が登録を依頼する必要がありましたが、ロボット型検索サービスでは自動的に行われるためにその必要がありません。
しかし、自動的にキーワードを収集するために、ホームページ開設者の意図した通りの、紹介文やキーワードがデータベース化される保証はありません。

ホームページの紹介文やキーワードは、新規訪問者を増加させる大切な要因なのですが、これでは困ります。
そこでホームページを作る時、<META>タグへの記入が必要となります。

【<META>タグへの記入】
以下は、ある会社のホームページのソースです。

<HTML>
<HEAD>
<TITLE>スペース不動産</TITLE>
<META name="description" content="千葉県を中心とした不動産のトータルアドバイザー。アパート・マンション情報から、一戸建ての紹介まで。">
<META name="keywords" content="千葉県,不動産,アパート,マンション,住まい,家,住宅,宅地,建て売り,一戸建て,仲介,賃貸">


META name="description" content= には紹介文を、META name="keywords" content= にはキーワードをそれぞれ記述します。

紹介文やキーワードを<META>タグへ記入することは、アクセス増加に直結します。しかし、200社の住宅・不動産関係のホームページを調べたところ、半数以上のホームページに<META>タグへの記入がされていませんでした。


■リンクをたどる
HTML の最大の特徴は、関連するページにリンクを張り、ユーザーがそのリンクをたどることにより他のページに飛んで行けることです。
同業他社や近接業者間でリンクを張り、お互いの集客機会を向上させるということも時には必要です。
ユーザーは必要な情報を求めて、このリンクをたどるのですが、ここで大切なことは先方から自社のホームページにリンクが張られなければならないという点です。


■バナー広告をクリックする
バナー広告というのはホームページで良く見かける細長い広告画像です。
クリックすると目的のページにジャンプするようになっています。
サーチエンジンや新聞社などの、比較的アクセス数の多いホームページに、数多く掲載されています。


■メールマガジンの URL をクリックする
メールマガジンとはメーリングリストを利用した、E-mail によるマガジンです。
ユーザーは、好きなジャンルや、気になる話題のメールマガジンに自分のメールアドレスを登録します。すると、定期的にメールで記事が送られてくるというシステムです。
この手軽さが評判で、ここ半年から1年くらいの間に急速に広まった感があります。
送られてくる記事の一番上の部分や下の部分に、数行の広告と URL が入っています。この URL をクリックすると自動的にブラウザが立ち上がり、目的となるホームページを見ることができます。

【URL】
インターネット上に置かれている情報にアクセスするための記述方法。
一般的には「http://www..............」のような型式で表記されます。
ネットワーク上にあるファイルの住所と、そのファイルを転送するために必要な約束事が記述されています。

会社で発行するパンフレットや物件の図面集・名刺・封筒・広報誌などに、住所や電話番号と共にURLを印刷することは、アクセスを稼ぐためにも必要なことです。


§3.再訪問者を増加させる
  〜印象の良いホームページとは〜

ユーザーは複数のホームページをネットサーフィンしながら、自分が欲しい情報のあるページを探しています。
再訪問されるホームページは、ユーザーに対して有用な情報を提供しています。
ユーザーが情報を求めてネットサーフィンしているという事実を考えれば当たり前のことです。
インターネットに接続するコストを負担しているユーザーにとっては、得るものが何もないホームページには何の魅力も感じないだけでなく、その会社の評価そのものまでもが下がる恐れがあります。


■ユーザーにとって必要な情報とは
例えば、マンションの購入を考え始めたユーザーがいたとします。
しかし、不動産の取得には色々な知識が必要です。
購入物件を良く見て、調べることが大切なことは言うまでもなく、そのマンションの周囲の生活環境も調べる必要があります。
さらに、有利な資金調達方法を知ることも大切ですし、税金の知識も必要です。

ユーザーは物件情報を求めながらネットサーフィンし、同時にマンション購入に役に立つ情報をも集めています。
ですから物件情報やサービスの説明と同じくらいに、その他の周辺情報にも力を入れなければなりません。

ここで大切なことは、これらのページを全て自社で作成するのではなく、HTML の最大の特徴であるリンクを生かして、必要なページにリンクさせると言うことです。
ユーザーが必要としている情報をきちんと提供しているホームページは、当然成功しています。


■定期的に更新しているページ
インターネットは常に新しい情報が求められているメディアですので、更新されないホームページのアクセス数は次第に落ちてしまいます。

しかし、闇雲に更新するよりも、タイムリーな更新を心掛けるべきです。
例えば3月4月には進学や就職・転勤時期に合わせた物件情報を用意する。
7月・8月にはカーテンやブラインドで日差しを遮り、涼しく過ごしやすい住環境の作り方を紹介する。
そして、12月には大掃除のノウハウを公開する。ということです。


■軽いページを心掛ける
一般的には1ページあたり20KBから30KB以下に押さえる工夫が必要です。
この程度の大きさでページを作れば、回線の混み具合にもよりますが、3秒から10秒程度で表示されます。

また、物件の見せ方にも工夫が必要です。
いきなり大きな画像を表示するのではなく、まず説明文や小さな画像で物件を紹介し、必要な人にだけ大きな画像を見せるようにしましょう。

逆にページの表示で15秒以上かかるようですと、ほとんどの人は「重い」という感想を持ちます。
最悪の場合には、まだページが開き終わる前に、他のホームページに飛んで行ってしまいます。

【画像の最適化】
同じように見える画像でも、最適化のテクニック次第で、データ量を圧縮することが可能です。
ホームページに貼り込める画像フォーマットには、代表的なものに「GIF」と「JPEG」があります。
この他にも様々な画像フォーマットがありますが、どのブラウザでも表示できる訳ではありません。
その意味で、ホームページで扱う画像フォーマットは「GIF」と「JPEG」が事実上の標準となっています。

【GIF】
最大256色しか表示できないという欠点はありますが、イラストなど少ない色数で描かれた画像は GIF で圧縮しても画質は落ちません。

【JPEG】
フルカラーを扱うことができますので、写真のように色数の多い画像を圧縮する時に適しています。
更に任意の圧縮率を選べる長所を持っていますが、その反面、圧縮過程で画像を劣化させてしまう欠点もあります。

■最新のテクニックは控える
「日進月歩」ならぬ「秒進分歩」と言われている、コンピュータの技術革新の中でも、とりわけ進歩が著しいのが、インターネットの分野です。
わずか2〜3ヶ月で最新技術が入れ替わる目まぐるしさです。

しかし、全てのユーザーが最新のテクニックに対応できている訳ではありません。
特別なプラグインやヘルパーアプリケーションが必要なホームページは、必要のない限り控えるべきです。


■印象の良いホームページとは
・トップページで、このページは何のホームページなのか、ここではどのような情報が得られるのかを明確に示しているページ。
・ユーザーにとって必要な情報、見たい情報が用意されていて、すぐにアクセスできるページ。
・タイムリーな情報が提供されているページ。
・信頼のおける最新情報を得ることのできるページ。
・会社の住所や電話番号・E-mail アドレスなどの連絡先が分かりやすい場所に明記してあり、物件の問い合わせやサービスの申込み機能が充実しているページ
・軽く、表示速度が速いページ
・このホームページでしか得られない情報があるページ。
・掲示板などの発言の場があり、気軽に意見交換のできるページ。
・リンクやアイコンのデザインなどが統一されていて、ユーザーを戸惑わせないページ。


§4.アクセス解析の方法
  〜ホームページのメンテナンスのために〜

アクセスの解析方法にはいくつか種類があります。
一般的にはサーバの保持するログ情報を使う方法と、CGI や SSI と呼ばれる仕組みを使って計測する方法の2種類です。

■ログ情報の読み方
ログ情報はサーバの管理会社から、有料または無料でホームページ開設者にサービスされる情報です。
サーバ内のファイルへのアクセス数を基に、どのページに一番多くアクセスがあるか、また曜日や時間帯などでアクセスはどう変わるかなどを詳しく分析できます。

【トップページヒット数】
トップページに何回アクセスされたを示すものです。

【ヒット総数】
サーバ内にある全てのファイルへの、アクセス総数を指します。
例えばトップページに HTML ファイルと画像ファイルが5つあった場合、このページには合計6回のアクセスがあったとカウントされます。
さらに、他のページからトップページに戻ってきた場合に、そこでまた6回のアクセスとカウントします。
このようにして、全てのファイルのアクセス数を足したものです。

【ユーザー・セッション】
アクセスしてきた人数を擬似的に計算したものです。
同じIPアドレスのユーザーが30分以内に2回以上アクセスしてきた場合に、1ユーザーセッションと計算します。

■CGI や SSI を使って計測する方法
CGIやSSIを使って計測する方法は、CGI や SSI を使ってあるページだけのアクセスを数えているので、それ以上の詳しいことは分かりません。
また、サーバに余分な負荷をかけるため、ホームページの表示が遅くなる恐れがあります。
しかし設置が簡単と言うこともあり、多くのホームページ開設者に利用されています。


■ユーザーの流れ
一般的には階層が深くなるにつれて、それぞれの分岐にユーザーが散っていきます。



すなわち、第2階層のアクセスの合計を全部足しても、トップページのアクセス数に達しない場合は、ユーザーがトップページだけ見て逃げたことを意味します。


§5.まとめ
  〜ホームページ作成の基本原則〜

ホームページ作成の基本原則は、だた一つです。

「ユーザーの立場になり、情報を提供しよう。」

この一言につきます。
今後どんなに新しい技術が登場したとしても、全てはこの一言が基本となります。

ユーザーが電話会社とプロバイダにお金を払ってまでホームページを訪問する一番の理由は、そのページに必要な情報があるからです。
アクセスを稼ぐには、このようなユーザーの希望を叶えるホームページを作ることが最も大切です。
ホームページの背景色や文字の大きさ、ページの構成やリンクの張り方など、ユーザーの立場に立ち、情報を得やすいように作る必要があります。

こうして作られたホームページは、必ずや皆様の会社に良い営業結果をもたらすものだと信じております。


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